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2013年7月 7日 (日)

地球風(特別編) フィンランド紀行1

フィンランド

 

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いつ頃から憧れていたのだろう?

僕が小学生だった頃、父は仕事で3週間ほど家を空けた。向かった先は、スウェーデンとデンマーク。オリエンテーリングの講習だった。

帰国後、父からのお土産を片手に、たくさんの思い出話を聞いた。自分の生活とは全く関係ないように思える国、でも父が旅したことで、僕と見知らぬ国が少しだけ近づいた。

大人になり、世界中旅するようになっても、物価の高さや時期などが合わず、なかなか機会は訪れなかった。

南アフリカに住み始めてから2年、ヨーロッパが近いこともあり、6月の北欧へ向かうことにした。

父に話すと、「お母さんを一度北欧に連れていってあげる」と約束したから、と一緒に旅することになった。

僕は南アフリカからフィンランドのヘルシンキへ、父母は中部国際空港からフィンエアーの直行便で。

風薫る6月、フィンランドは一年で最も良い季節を迎えるという。

ケープタウンからイスタンブール経由でヘルシンキへ。飛行機は、日本三景の松島のような多島海の中へ徐々に高度を落としていく。眼前に針葉樹の深緑の森が迫ってきた。まるで森の海のよう。飛行機は旋回し、最終着陸態勢に入ると、緑がどんどん近くなり、ポツポツとシックなログハウスが見えてきた。

記念すべき、90ケ国目のフィンランド。

上空には風が強いのか、青空に鎌状の雲が流れていく。良い天気だ。荷を下ろし、街を散策すると、スオミ(フィンランド人の自称)たちは、至るところで、太陽の光を謳歌していた。大声はあまり出さず、ヒソヒソと話すその姿に、ここもアラスカ同様、極北の国だと実感した。

それにしても、圧巻だった。

金髪に青い瞳、まるで血管が透けて見えるような純白の肌、北欧の妖精のような美女が、ヘルシンキには、うじゃうじゃいた。こっちも、あっちも・・・・、お陰で首が痛くなる。

手元の携帯に、友人からメールが入った。

「ヴァイキングの娘たちに、くれぐれも惚れないように」と。

惚れました。完全に。というか、イタリア、ブラジルなども美男美女国だと思うけれど、フィンランドのそれは群を抜いていた。

 

父母よりも一日早くヘルシンキ入りした僕は、ログハウスメーカーの雄、ホンカへ。物価高のフィンランドは最も安い軽クラスで、レンタカー代は約1万円。泣く泣く借りて、ヘルシンキから高速道路を30キロ北上した。

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アカシアやタンポポの綿毛が、宙に舞う。牧草地が広がる中、左手にホンカが見えてきた。敷地内に入ると、まず素敵な教会ログが出迎えてくれる。

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昔、富士で住んでいたようなログハウスもあり、懐かしさがこみあげる。

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そして、僕はある家に一目ぼれしてしまう。

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でも、中へ入ると、なんだか様相が違う。焼いた石が置かれ、蒸し暑い。

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ここは家ではなく、サウナ専用だったのだ。

でも、こんな形で家として売り出せば、日本で結構需要があるんじゃないかな?

ひとつ、またひとつとログハウスを見ていくと、暖炉の多様性に惹かれた。最新式の物から、銅板を叩いて作ったもの、そして生まれて初めて大理石で作られた暖炉まで。

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日常の一部だからこそ、自分の好きなものを、一緒にいて心地いいものを。パタゴニアに住んでいた時は、毎日暖炉に火をくべていた。火の思い出は心の深くに刻まれるような気がする。それは僕たちの遠い先祖から狩猟採集民時代から続いてきた、DNAの旅のようなものかもしれない。

シンプルな冷蔵庫、そして椅子。

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北欧家具に僕が惹かれるのは、付け足すデザインではなく、引くデザインだから。削いで、削いで、最後に残ったシンプルなもの。これが北欧の真髄だと思っている。

行きつく先は、「シンプルイズベスト」。

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そしてホンカ展示場で、最も感動したものは、敷地内の端にある古いサウナ部屋。日本のように洗練はされていないが、どこかに人の手が見える。温もりが感じられる。

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家は歴史を刻む場所。そして家と共に、人間も成長していくのだろう。

ホンカから去るときに、何か温かいものが、僕の心に灯された。

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それは、どこか森の香りがした。

                 ノムラテツヤ拝

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ホンカデザインセンターPresents
写真家・野村哲也 スペシャルブログ

ホンカログハウスに居住したことのある筆者が地球の息吹を綴ってゆきます
プロフィール
Author: 野村哲也
1974年12月13日生まれ。
岐阜県岐阜市出身。
高校時代から山岳地帯や野生動物を撮り始め、“地球の息吹き”をテーマに、アラスカ、アンデス、南極などの辺境地に被写体を求める。
2007年より、南米のチリに移り住み、四季を通してパタゴニアの自然を撮影。写真はCMや新聞、雑誌などに数多く掲載されている。今までの渡航先は85ヶ国に及び、海外の辺境ツアーガイド、TV局やマスコミのアテンドにも携わる。国内では幼稚園から生涯学習センターまで、幅広い年齢層に講演活動を続けている。2011年より南アフリカ、ステレンボッシュに移住

著書
「パタゴニアを行く 世界でもっとも美しい大地」
「世界の四大花園を行く 砂漠が生み出す奇跡」
(共に中央公論新社)
写真集「PATAGONIA」
「ペンギンがくれた贈りもの」
(共に風媒社)
~たくさんのふしぎシリーズ~
「砂漠の花園」
「100年にいちど咲く花」
「僕のデナリ国立公園ガイド」
(共に福音館書店)など多数